古澤メイ、初主演映画「爽子の衝動」を語る

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俳優・古澤メイが初めての主演を務める映画「爽子の衝動(そよこのしょうどう)」が公開間近(10月10日から順次全国劇場公開)。公開を控えた古澤にその心境を聞いてみた。



―今回は映画初主演。いわゆる座長としての映画の撮影を終え、公開が始まる直前。今の心境はいかがですかですか?

まず劇場公開が決まるというのは、とてもたくさんの方々の支えがあってこそです。こんな素敵な形で劇場公開ができることを本当に心から感謝しています。初めての主演映画ということで。私自身は「主演だからどうしよう」「主演だからプレッシャーが…」みたいなことは正直無くて、本当に自分自身が初めてこんなにもその役と向き合った、こんなにも深く考えたのが、この爽子という役でした。素晴らしい役者の方々ばかりだったので、そこは緊張もしたんですけど、逆に自分ができることを精一杯やろうという土台を与えてくださったので、変に気負わずに作品に集中できたかなと思います。

ー映画の中ではお父様の介護など、社会的に問題となっていることがテーマになってきます。今回の役を演じるにあたり、自分の中で役を落とし込む過程はありましたか?

まずこの作品には医療監修の方が関わってくださっていて、作品に入る前に、演者・スタッフみんなでその説明を受けたことがすごく大きく、役にとって力になりました。私の役が訪問介護を頼んでいる身なので、医療監修の方から教えられたことが全てではないというところも知識として教えてもらって、「この子は何が日常になっているのか」「どこまで何を知っているのか」という部分は、知識を得ているからこそ想像が膨らみました。

―45分という作品時間の中で表現の取捨選択や切り替えも大変だったと思いますが、いかがですか?

もともとはもっと短編で20分ぐらいというお話だったんです。でも、撮影が進む中でどんどん長くなっていきました。脚本を初めて読んだときは、ヤングケアラーという役で正直ものすごい衝撃的というか、作品の力が大きく作品に殴られた感じがすごかったんです。介護というのは誰しもが起こりうる現状だと思っていて、自分の両親がどんなふうになるかもわからないわけですから。作品自体は重い作品だったんですけど、切り替えというより事実的に考えていることが多かったです。

準備期間として大事な時間があったことで、やっぱり爽子という女の子が自分の中で大切になって、自分が守らないといけないという思いが強くなっていきました。撮影期間は、それを強く思うあまりにカメラの前に立って演じることが爽子のすべてを表してしまうと思った時、すごく不安で怖かったです。だから、毎日不安はありました。ですけど、この子をどう伝えたいか、どう世に届けられるかは自分次第。自分が爽子のためになにをどれだけしてあげられるかという自分自身の戦いはたくさんありました。

―この作品を見ていただいた方にお伝えしたいことも教えてください。

私は映画が大好きで、自分自身映画を通して、いろんなものを知って、いろんな窓からの世界を見て、豊かになってきました。ですので、この作品に関しては、知るということがとても大切だなと感じます。この作品を見たからといって世界が変わるわけではない。そういう子がここの街で生きてるっていうことだけ知ってもらいたい。知ってもらった上で、どう作用するかっていうのはそれぞれだと思うので、なにかを考えるきっかけになる作品になればいいなと思っています。

―改めてこの仕事を始めたきっかけはなんですか?

もともと音楽系の事務所に所属したのが始まりでした。音楽も踊るのも好きで、楽しかったんですけど、「仕事にはしたくない」という思いがあって…。そんな時に体を壊してしまって、家にいる期間が長かった時期があって、その時にずっと映画を見ていました。そうしたらいつの間にか映画が自分の居場所になって。それで自分の経験や持っている記憶を自分の材料として使える良い仕事だなと感じて、お芝居に興味を持ち始めました。それが17歳の時で、そこからはもうお芝居をしたいという気持ちだけで過ごしてた感じがします。

―ありがとうございます。続いてCMNOWEBの定番質問です。出てみたいCMを教えてください。

お酒のCMに出てみたいです。好きなお酒はハイボールです。最初は甘いチューハイから飲み始めたんですが、あんまりしっくりこなくて…。ハイボールは飲み物単体で完結しておらず、ご飯と一緒にも楽しめるので好きなんです。


―これから挑戦したい仕事はありますか。

一番は、NHK連続テレビ小説です。自分が今生きている、その前の世代の人たち。今とは価値観も生活様式も違う中で、いろんな人たちがいろんな思いで切り開いてくださった先に「今」があると思っています。少し前の時代の作品を見ると、そういう人たちの強さ、たくましさみたいなものに惹かれるので、そういう時代の朝ドラに出たいです。

―今年の夏の思い出を教えてください。

夏はあまり関係ないのですが、私が大好きな映像作家であるヤン・シュヴァンクマイエルの映画がこの夏に公開されまして! 学生時代からずっと見てきて、追い続けてきた人がついに劇場で観られるというのは、私にとっての夏の一大イベントでした。

―最後に今後の目標、意気込みをお願いいたします。

自分の伸びしろをちゃんと信じて、とにかく周りの人たちを大切にできる人間でありたいと思います。そこは忘れちゃいけないところだなというのをすごく日々感じています。また、「爽子の衝動」のように自分が普段見ることのできない現実だったり、事柄を映したりできるのが映画の強みだと思うので、そういう日常の視野に入らないようなところに目を向け、いろんなことに立ち止まって考える。今後もそういう作品に関わっていけたらいいなと思います。

【PROFILE】
ふるさわ・めい
2000年5月2日​生まれ 東京都出身 身長154cm
特技はバトントワリング。映画「爽子の衝動」主演 爽子役(監督/戸田彬弘)。
X:https://x.com/furusawa_mei
Instagram:https://www.instagram.com/mei.furusawa/

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